前回は、株式投資信託(非上場)の売買について記載しました。
今回は、オープン型の株式投資信託の分配金について話を進めます。
今回も、どうぞ興味のある方だけ、ご覧ください。
また、間違い等がありましたら、どんどんご指摘いただければ幸いです。
なお、今回も、「株式投資信託」といえば、非上場のものを指すことにさせて
いただき、文中で、「株式投資信託」を単に「投信信託」と表現している場合
もありますので、ご了承ください。
【分配金の原資】株式投資信託の分配金原資は、組み込んでいる株式の配当、債券の利金、
リートの家賃収入と、組み込んでいる金融商品の売却益などです。
分配金は決算毎に支払われますが、オープン型の株式投資信託に限って
いえば、毎月分配されるもの、2か月に1回のもの、4か月に1回のもの、
半年に1回のもの、1年に1回のものと様々です。
一般的に、外国債券型とリート型は毎月、バランス型は2か月に1回の奇数月
(公的年金の給付が偶数月でその裏側月)、株式型は、半年に1回か1年に
1回の場合が多いようです。株式型は、基準価額が10,000万円を大きく割り
込んでいる場合、分配金が見送られることもあります。
ところで、外国債券型の投資信託の中には、組み込んでいる債券の利金に
比べ、これを超える、高い利回りの分配金が出ているものがあります。
以下、私の私見に過ぎませんが、投資信託に組み込んでいる商品のうち、
含み損がある債券はそのままにし、含み益がある債券を売却して、売却益を
捻出。これを分配金原資に充当しているのでは?という気がします。
いうまでもなく、これを多用するとその分、基準価額が傷みます。
分配金原資として、いわゆる蛸足配当は禁じられているようですが、たぶん
それには抵触しないのでしょう。
販売促進のために、利回りをよく見せる戦略なのでしょうか?
そうまでしなくても、好利回りの金融商品であることに違いないと思うのですが。
【受取りコースor再投資コース】株式投資信託の分配金は、受取りを選択するコースと、再投資を選択する
コースがあるのが普通です。
どちらを選択するかは、人それぞれの事情や投資方針によるかと思います。
私の場合は、分配金が生活費の一部ですから、受取りコースを選択して
いますが、安定した給与収入のある若い方なら、再投資コースも選択枝か
と思います。
再投資コースなら、同一銘柄で毎月分配型と、1年1回の分配型がある場合、
複利効果の面から、後者の方が有利です。
結果論になりますが、最近大きく値下がりした株式型やリート型の投資信託
のような場合、一昨年とかボーナス分配が出た時点では再投資するより、
分配金を受け取って利益を確定しておいた方が有利でした。
分配金を受取る時点で、以後、その投資信託が値上がりするようであれば、
再投資が有利、値下がりするようであれば、受取りが有利となりますが、
「将来どうなるかは、神のみぞ知る」というところでしょうか!
【個別元本方式】オープン型の投資信託には、個別元本方式が適用されます。
個別元本方式とは、例えば基準価額9,000円で100万口購入した
Aファンドがあるとします。その時のAファンドの個別元本は9,000円
となります。その後に決算があり、80円の分配金が出たとします。
この時、分配落ち後の基準価額が9,000円以上であったのなら、
分配金80円は全額、普通分配金となり、すべて課税対象となります。
この場合は、個別元本は9,000円のまま据え置かれます。
分配落ち後の基準価額が8,920円以下であったのなら、分配金80円
は全額、特別分配金となり、すべて非課税です。個別元本は、分配金
全額の80円分が差し引かれ、8,920円に変更されます。
分配落ち後の基準価額が8,960円であった場合、分配金80円のうち
40円は特別分配金となり非課税、40円は普通分配金となり課税対象
となります。個別元本は、特別分配金分40円が差し引かれ、8,960円
に変更されます。
分配落ち後の基準価額が、個別元本より低い場合、その差額分は
元本の返済とみなされ、非課税扱いとなる理屈です。要するに、
特別分配金が出たということは、非課税と喜ぶべきではなく、基準価額
が下落して、元本の一部が返ってきたと考えるべきものです。
また、個別元本が8,920円となっていた時に、Aファンドを基準価額8,720円
で同口数、買い増しすると、新個別元本は、平均値の8,820円となります。
次の分配金が普通分配金か特別分配金かの判定は、この個別元本8,820円
が基準となります。
個別元本はその名前の通り、顧客一人一人で異なるもので、固定したもの
ではありません。決算時、特別分配金と普通分配金の判定基準となると共に、
株式投資信託の売却時には、譲渡損益計算における取得価格(必要経費)
計算の元ともなる重要な数字です。
以上が株式投資信託の分配金の概要です。
次回は、株式投資信託の税制について話を進めます。
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