前回は、株式投資信託(非上場)のうち、(1)キャピタルゲイン追求型について
書きました。今回はその続きで、(2)インカムゲイン追求型について話を
進めたいと思います。
今回も、どうぞ興味のある方だけ、ご覧ください。
また、間違い等がありましたら、どんどんご指摘いただければ幸いです。
なお、今回も、「株式投資信託」といえば、非上場のものを指すことにさせて
いただき、文中で、「株式投資信託」を単に「投信信託」と表現している場合
もありますので、ご了承ください。
2、インカムゲイン追求型安定した分配金を、定期的に支払うことに主眼をおいた投資信託で、債券の
利金やリートの家賃収入等が分配金の原資となります。
【外国債券型】国内債券だけを組み込んだものや、外国債券を組み込んだもので外貨建て
は公社債投資信託となります。外国株を一切組み込まず、外国債券のみを
組み込んだものでも、円建てのものは株式投資信託となります。
組入れる外国債券は多種に亘っていますが、いずれにしても組入れた債券の
利金と売却差益が分配金原資となっており、毎月分配タイプのものが主流です。
ご承知の通り、近年、先進国のソブリン債や公社債は、国内の債券に比べて、
はるかに好利回りの状況が続いています。国内の債券や定期預金より大きな
インカムゲインを期待する人々の間では、好利回りの外国債券を直接保有
すると共に、好利回りの外国債券を組み込んだ投資信託も人気商品となって
います。
この外国債券型の投資信託は、キャピタルゲインを期待するものではない反面、
キャピタルロスのリスクも比較的少ない投資信託です。なぜなら、現地通貨
建てで見ると、外国債券の価格変動要因は、金利による変動だけだからです。
但し、為替相場の影響で、円建ての基準価額は、結構大きく動くことも
あります。外国債券型の投資信託は、為替ヘッジすると、利回りが国内債券
並みになってしまいますので、通常、為替ヘッジはしていません。
また格付けの低いハイイールド債を組み込んだものは、好利回りの反面、
組み込んだ債券のデフォルトリスクもあります。
今、円高で、外国債券型の投資信託の基準価額は値下がりしています。
その分、利回りがよくなっています。今後の為替相場がどうなるか?予測
は出来ませんが、例え、元本が幾分目減りするようなことがあっても、
受取る分配金を加味すれば、余裕資金を国内の定期預金に寝かせるよりは、
外国債券型の投資信託の方が有利かと思います。
【リート型】不動産投資信託(リート)を組み込んだ株式投資信託です。
リートの現物については、後日、別途、記事を書く予定ですが、本来リートは、
不動産の家賃収入を元手に、分配金を支払う商品です。
ですから、これを組み込んだ投資信託も、比較的安定した分配金が支払われます。
リート型の投資信託は、この面からはインカムゲイン追求型の商品です。
しかしながら、実際には株式を組み込んだもの以上に、値動きが激しく
キャピタルゲイン型の側面も持っています。
大別すると、国内のリート(J-REIT)をバスケットにして組み込んだものと、
海外のリートをバスケットにして組み込んだものに分かれます。後者は
いうまでもなく、為替相場の影響も受けます。為替ヘッジをしているものも
ありますが、その場合は分配金の利回りは大きく落ち込みます。
リート型の投資信託は、昨年春まではすごく好調で、特に一昨年は基準価額
が大きく値上がり、値上がり益の一部がボーナス分配として還元されました。
中には年間30%前後の利回りに達したものもあったようです。
しかし、昨年のサブプライムローン問題を契機に一転、世界的な不動産不況に
陥り、国内海外共に、リート本体が大きく値下がりしました。それに伴い
リート型の投資信託も基準価額が大きく下落しています。
不動産不況が続けば、もう一段の下げも考えられますが、今、利回りは国内
もので6%、海外ものでは10%前後のものもあります。
当面大きなキャピタルゲインは期待出来ないと思いますがが、インカムゲイン
追求型の投資信託としては、そろそろ買い時かという気がします。
【バランス型】過去20年とかシミュレーションをした結果、キャピタルゲイン追求型の金融商品と
インカムゲイン追求型の金融商品をうまく組み合わせて、投資信託を構成すれば、
安定的に最高のパフォーマンスが得られた、という研究結果がバランス型の背景
となっています。
内外の株式、内外の債券、内外のリートの6種類を組み合わせたり、内外の株式と
内外の債券の4種類の商品を組み合わせたものが多いようです。
一般的に株価と債券価格は反対の動きがする場合が多いこと、さらにリートは両者
とも異なる独自の値動きをすることから、これらを組み合わせておけば、債券やリート
から安定した分配金が確保できると共に、長期的には株やリートのキャピタルゲインも
期待できるというものです。長期に保有すれば、バランス型は外国債券型に比べて、
キャピタルゲインが期待できる分リターンが大きく、最も投資効率のよい投資信託だ
とも言われています。
実際、分配金利回りは外国債券型の半分程度ですが、株やリートが値上がりした
一昨年は、年に何回か多額のボ-ナス分配が出ていました。
郵貯銀行が3年前から、何本かの株式投資信託を販売していますが、安全性を
考え、このバランス型のものが圧倒的に多いようです。
それでも、昨年からの世界的な株安と為替相場の円高には勝てず、現在、基準価額
が大きく毀損しているものが大半です。証券会社の店頭は平気ですが、郵貯銀行の
投資信託の販売窓口では、「こんなはずではなかった」とかなり腰が引けた状態に
なっています。
長期の安定した資産運用を目指すなら、値下がりしている今が買い時かも知れません。
【条件付早期償還型】これは少し異質な投資信託で、あまりポピュラーでもありませんが、一応インカム
ゲインを目的としたものです。日経平均や為替レートを判定条件に、所定の利率
の分配金が出る投資信託です。
条件の判定日とかを定める必要があることから、ユニット型で設定されます。
簡略的に一例をあげると、日経平均が15000円を基準値として、購入した場合、
1年後の判定日に日経平均が13000円以上なら所定の分配金を、15000円以上
なら10%の分配金が出て元本が早期償還、期間中に日経平均が11000円を
切ると、ETFとかで現物償還(ノックイン)するという類の投資信託です。
ノックインになると、当初基準価額15000円で買った投資信託が、11000円に
値下がりしたのと同等の価値になってしまいます。
この例はかなり簡略化したものです。実際はオプション取引とかを駆使して運用
されているようで複雑です。債券として発行される場合もあり、その場合は
しくみ債(ノックイン債)とも呼ばれています。
最近は豪ドルとかの外貨建てのものとか、いろいろな商品が出ているようですが、
この投資信託、ハイリスクの割には、リターンが限定された商品のように思います。
以上、前回と併せて、株式投資信託のいくつかを紹介しましたが、他にもCB型や
ヘッジファンド型等、様々な投資信託が登場しています。
また、ここでは主に円建ての投資信託を念頭において紹介しましたが、外貨建ての
投資信託も数多くあります。詳しくは、証券会社の店頭やセミナー等で研究された
らよいかと思います。
次回以降、株式投資信託の売買、譲渡損益や分配金の税制について、話を進めたい
と思っています。
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