最近、急激な円高になっています。
特に中期トレンドでは、米ドルに対する円高が顕著になっています。
米ドルに対して、もう一段の円高があるかも知れません。
でも、そろそろ為替差益を狙おうと人も現れているようです。
最近のテレビや新聞で「外貨預金の人気が急上昇」と報道されているのが、
それを物語っているように思います。
ところで「FXの方が断然有利なのに、なぜ外貨預金?」というブロガーさんの記事も
見受けます。もっともなコメントだと思います。
そこで、為替差益狙いの金融商品について、比較検討してみました。
米ドル預金や米ドル建ての債券で運用する金融商品に絞り、株式、リート等で運用する
ものは除いています。
1、米ドル建て外貨預金
銀行で取り扱う米ドル建ての定期預金、普通預金
利率は、定期預金で1.0~1.5%、普通預金で0.5%前後のものが多い。
銀行によりマチマチであるが、総じて金利は低目の設定。
標準的な為替手数料(TTS、TTB)は片道1円、通常、為替レートは1日1本である。
但し、ネット取引の外貨預金では、30分から1時間に1回、為替レートが更新されている。
為替手数料も半額とか25銭以内とかに設定されているものがあり、ネット取引が断然有利。
利息は利子所得で、20%の源泉分離課税。
満期時、解約時の為替差益は総合課税(雑所得)。
2、米ドル建て公社債投資信託
証券会社や銀行で取扱う米ドル建て外貨MMFで、利率2.4%前後。
変動金利ではあるが、総じて外貨預金より利回りがよい。
外貨MMF以外にも米ドル建ての公社債投資信託に相当するものもある。
標準的な為替手数料(TTS、TTB)は片道50銭。
為替レートは大手証券では1日に何回か更新されるが、中堅証券の多くや銀行では
通常1日1本。
分配金は利子所得で20%の源泉分離課税。
売却時の為替差益は非課税。
大抵の銀行では、外貨預金と外貨MMFの両方を取り扱っている。
先に外貨MMFを買ってから、外貨預金に切り替えると為替手数料(TTS、TTB)は
半額となる。
但し、わざわざ見劣りする外貨預金に切り替えるまでもないであろう。
3、米ドル建て債券
国内の証券会社で取引しやすいのは、利付米国国債とゼロクーポン米国国債である。
大手証券ほど品揃いが豊富である。
現在の利回りは、残存10年程度で、3.3%前後。
標準的な為替手数料(TTS、TTB)は片道50銭。
為替レートは大手証券では1日に何回か更新される。
利付米国国債は、発行時の表面利率に対する市場実勢金利に応じて、途中売買時の
取引価格が変動。買いと売りでこの取引価格が異なる。
利金は利子所得で20%の源泉分離課税。
途中売却益は非課税、償還時の為替差益は総合課税(雑所得)。
ゼロクーポン米国国債は、償還価格から金利相当分がディスカウントされ売買されている。
残存期間と市場実勢金利に応じて取引価格も変動、買いと売りでこの取引価格が異なる。
途中売却益は総合課税(譲渡所得)で50万円までの特別控除の特典がある。
償還時の償還差益は総合課税(雑所得)。
4、円建て外債型株式投資信託
100%米ドル建ての債券に投資する投資信託であっても、円建てのものは
株式投資信託となる。
米国国債・投資適格債に投資するもの、エマージング債券やハイイールド債券
に投資するものと様々。.
当然ながら、リスクの大きいものほど利回りがよく、8.0%を超えるものもある。
購入時の手数料は2~3%で、為替レートを織り込んだ基準価額で取引される。
保有している債券の残存期間は平均5年程度のものが多く、基準価額は債券価格の
変動の影響も受ける。
税制上は株式と同等の扱いで、特例期間中、分配金は配当所得で10%の源泉徴収。
買取請求による売却益(譲渡所得)は10%の分離課税。
但し、分配金はある条件よりも基準価額が下回っている場合は、特別分配金となり非課税。
5、外国為替保証金取引(FX)
外国為替保証金取引(FX)については、私より詳しい方が多いので説明は省略。
ここでは、いわゆる中期に買いポジションを持つスワップ派と呼ばれる投資方法の
観点から眺める。
FXの特徴は、24時間、指値取引が出来て、手数料も極めて安いことであろう。
何よりの利点は、レバレッジ10倍としても、当面の証拠金(保証金)は取引額の
1/10程度で済むこと。
(IPO愛好家にとって、残りの9/10はIPOの買い付け余力に活用できる)
また、証拠金の金額に対して年間20%以上のスワップ金利がつくこと。
注意点としては、いうまでもなく円高が進むとロスカットの危機に晒されること。
また、FX業者が倒産すると業者によっては、証拠金が返還されないことがある等。
FXの決済差益に対する課税は、スワップ金利分を含めて、総合課税(雑所得)。
くりっく365の口座の場合は、先物取引扱いとなり一律20%分離課税。
(但し、源泉徴収制度はないようで、確定申告が必要)
他に都市銀行で取扱っている米ドル建て定額年金保険とかもありますが、
以上が主な商品だと考えます。以下、私の独断です。
最も有利な金融商品は、取引のリアルタイム性や資金効率から間違いなく
外国為替保証金取引(FX)だと考えます。
FXの難点は税制面で、この点からは為替差益が非課税である外貨MMFや
外債の方が気楽な面もあります。
また、円建ての投資信託は株式と同等の扱いとなるので、株式の譲渡損益と
相殺するような場合は有効です。
最もダメなのは外貨預金、特に銀行店頭での外貨預金は何のメリットもありません。
おまけに、ペイオフの対象外となっています。
但し、証券会社というだけで、敬遠する方々もたくさんおられるようです。
その方々にとっては、銀行の外貨預金というのは信頼性が高いように感じるのでしょう。
同じ銀行であっても、外貨MMFの方がよいと思いますが、投資信託ということで
敬遠するのでしょうね。
ましてや、FXすなわち外国為替保証金(証拠金)取引と聞くだけで、
鳥肌が立つ人も多いのでしょう。30年前の私も、同じような状況でした。
以上、正確を期したつもりですが、内容に錯誤や勘違いがあるかも知れません。
各々の商品を購入される場合やその税制については、ご自身で再度確認して
いただきますようお願いします。

←ブログ村
驚かされます。
思わずじっくり読んでしまいました。
ほんと勉強になります。
やはりFXが一番有利なんですね。
私は負けてばかりで一向に利益が
出ませんが・・・(笑)