これまでに第1回として、所得区分と総合課税、分離課税、
第2回として、所得税の計算手順、第3回はいろいろな
金融商品側から見た所得区分について、記載させていただき
ました。
今回は第4回目、最終回です。損益通算について、補足
させていただきます。
今回も、興味のある方のみご覧ください。
税理士の資格も持ち合わせていない、素人がまとめた記事です
ので、勘違いや錯誤もあろうかと思います。誤りがあれば
ご指摘ください。
また個別の案件について、確定申告される場合は、必ず事前に
最寄りの税務署に照会してください。
1、分離課税所得の損益通算
まず、分離課税となっている所得の損益通算ですが、原則
同一所得内だけで、損益通算が可能です。
例えば、先物取引の雑所得は、先物取引内でのみ損益通算、
土地建物の譲渡所得も、土地建物の売買の範囲内でのみ
損益通算と、いう具合です。
株式譲渡所得も同様ですが、前回にも述べたように、今年の
申告分から配当所得の分離課税を選択すれば、株式譲渡所得
と配当所得の損益通算が可能になりました。
分離課税の中でも退職所得は特別で、総合課税所得の合計額
がマイナスの時は、退職所得との相殺、すなわち損益通算が
出来ます。但し、この適用は所得税だけで、住民税は損益通算
できないようです。
2、 総合所得課税となる所得の通算
総合課税となる所得については、原則、所得相互間の損益
通算が出来ます。但し、一時所得や雑所得がマイナスと
なった場合は、所得ゼロとして取り扱われます。
ですので、例えば雑所得がマイナスとなった場合、他の
所得のプラス分とは相殺出来ません。ただ雑所得内の
損益通算は可能です。
すなわち、外債の満期償還為替損益、外貨預金やFXの
損益(くりっく365等分離課税を除く)、CFDの損益、
及び年金等の雑所得の範囲であれば、相互の通算損益が
可能です。
一方、総合課税の事業所得や譲渡所得がマイナスとなった
場合、他の総合課税所得のプラス分と損益通算できます。
以下、私が実行中、検討中の損益通算について記載します。
3、株式譲渡所得の損益通算
株式投資の書物には、必勝法として「損切りの重要性」を
指摘しているものが多いようです。実際にデイトレやスイング
の短期トレードでは、その通りだと思います。
それに比べ、私が日頃、推奨し、実践している中期鞘取り
トレードは、損切りをせず、下値を何回かに分けてナンピン
買いするというスタンスです。
そのため、買いは慎重に対応し、数年に1回ぐらいの
割合で訪れる暴落時に「この銘柄がここまで売られたら、
将来、2倍までは値を戻すであろう?」と自己判断した時に、
買いスタートをすることにしています。
この14~15年、この投資方法で、日本株投資については、
ほぼ100%成功し、損切りすることなく、概ね5割前後
の売却益を得ています。但しJリートだけは例外で、一昨年
売りそびれたものは、暴落で底が抜けてしまい、大きな
含み損を抱える結果となりました。
また、2~3年前、「こんな高値圏にあるものは怖い?」と
感じながらも、IPO裁量絡みで店頭とお付き合いをした、
POや投信、IPO裁量の恩恵を受けることもなく、塩漬け
になっています。
これらの含み損を抱えたJリート、PO株、投信の中でも、
回復の見込みが少ないと予想されるものは、毎年、計画的に
損切りをしています。今年もインベさんのPOにお付き合い
したアルコニックスは、既に損切りを完了しています。
そしてこれらの損失分は、同一特定口座内で相殺されて、
全体としてプラスになるものは、改めて申告の必要はない
のですが、そうでないものは、売却益が残っている他の
特定口座と抱き合わせて、毎年確定申告をし、その結果、
源泉徴収された所得税と住民税の還付を受けています。
株式譲渡所得の損益通算の詳細については、私の以前の
記事、
株式譲渡所得、損益通算の確定申告をご覧ください。
4、 雑所得の損益通算
株式譲渡所得以外で、私が予定しているのは、先に言及した
雑所得の損益通算です。恥ずかしながら、来年満期償還と
なるランド建て債券、元本から4割ほど値下がりした状態で、
大きな為替差損が発生する見込みです。
これも先に述べたのと同様に、3年半前、「たまには店頭
とのお付き合いも・・・」と、安易な気持ちで、あまり深く
検討もせずに購入したものです。
先に述べたPOや投信、そしてこの外債の含み損の反省から、
最近は、IPO裁量目的の店頭との付き合いは一切しない
ことにしています。
ただ、セミナーに頻繁に参加させて貰ったり、資料提供を受け
たりと、日頃お世話になっている店頭とは、気は心というか
わずかな金額ですが、PO等のお付き合いをしています。
話を戻して、利付き外債、途中売却して邦貨決済すれば、
為替差益は非課税となります。非課税ということは、為替差損
が発生しても一切、損益通算の対象にはなりません。
しかしながら、満期償還まで待って邦貨決済し、雑所得の
マイナスを計上すれば、為替差損は他のプラスの雑所得と
相殺することが出来ます。
ですので、来年、満期を待って損益通算の確定申告をして、
少しでも損失を取し戻したいと考えています。
損益通算すれば、所得税、住民税の減額と国民健康保険料、
介護保険料の減額で、債券の損失の1/3以上の金額を取り
戻せる見込みです。
5、譲渡所得(総合課税)の損益通算
大きな含み損を抱えたゴルフ会員権も保有しています。
最近は、特に平日はプレイ費が安くなり、簡単にエントリー
も出来て、以前より、会員であることのメリットが少なく
なりました。それで、売却を考えています。
ゴルフ会員権の売却は、総合課税の譲渡所得となり、売却損
(マイナス分)は、どんな総合課税所得のプラス分とも相殺
できます。そのため、一番効果的なタイミングで売却損を
出して、節税効果を高めたいと考えています。
ただ現在のところ、この売却損に見合うだけのプラス所得が
なく、延び延びになっています。民主等政権下では、ゴルフ
会員権は、ぜいたく品と見なされ、税改正で損益通算が
認められなくなることも考えられます。売却を急ぐ必要が
ありそうです。
これで、損益通算についての記載を終わらせていただきます
が、先日、「金融庁が概算要求とともに、個人投資家の
積極的な市場参加を促す税制改正を要望」という記事を目
にしました。
内容は、来年度の税制改正で、上場株式、公募投資信託、
預金、債券、先物取引等、広範囲の金融商品間の損益通算を
検討しているというものです。
この改正が実現すれば、画期的だと思いますが、私が
第3回目に記載しましたように、金融商品の所得区分は
多岐に亘っています。これらが、スムーズに損益通算できる
ような総合的な税制の改正が出来るのか?甚だ疑問です。
いろいろの金融商品の税制が統一され、誰にも解るように
簡略化されることは望ましいと思いますが、これまでの
証券税制の改正の変遷を見ると、いろいろな思惑が働き、
結果的に、簡略化よりは複雑化してきたような気がします。
民主党政権下における税制改正、あまり期待していませんが、
今以上に複雑になることだけは避けて欲しいところです。
以上で、私自身の勉強を兼ねた、所得税のしくみについての
記載を終わらせていただきます。知識不足で、中途半端な
記事に終わってしまったような気もしますが、私の記事が、
少しでも皆様方のお役に立てば幸いです。
繰り返しになりますが、個別の案件について確定申告される
場合は、必ず事前に最寄りの税務署に照会してください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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