ちょっと間が空きましたが、所得税のしくみの第3回目です。
、
第1回目に、国税庁が公表している所得区分について、
そのまま抜粋して、掲載させていただきましたが、私自身も
理解しづらい用語がたくさんありました。
そこで今回は、実際にいろいろな耳慣れた金融商品が
それぞれ、どの所得区分の属するのか?整理しました。
今回も、興味のある方のみご覧ください。
税理士の資格も持ち合わせていない、素人がまとめた記事です
ので、勘違いや錯誤もあろうかと思います。誤りがあれば
ご指摘ください。
また個別の案件について、確定申告される場合は、必ず事前に
最寄りの税務署に照会してください。
主な金融商品に係る税制を整理すると次の通りです。
1、 株式や株式投資信託等の売却損益
まずは国内外の上場株式や株式投資信託、ETF、REIT
の売却損益についてですが、分離課税の譲渡所得となります。
2011年末まで、所得税7%、住民税3%の軽減税率が
適用され、特定口座の「源泉徴収有り」を選択した場合には、
所得税、住民税が源泉徴収され、課税関係が完了します。
但し、改めて確定申告をすることも出来ます。
一般口座や特定口座の「源泉徴収無し」を選択している
場合で売却益がある場合は、確定申告が必要です。
株式譲渡所得に対する課税の詳細は、私が以前に書いた、
今年適用される証券税制(1) をご覧ください。
なお、非上場株式の売却損益には、軽減税率が適用されず、
所得税15%、住民税5%が課税され、売却益があれば、
分離課税の確定申告が必要です。
2、上場株式の配当や株式投資信託等の分配金
上場株式の配当や株式投資信託、国内ETF、Jリートの
分配金は、総合課税の配当所得ですが、分離課税を選択して
株式等の譲渡所得と通算することも出来ます。
2011年末まで、所得税7%、住民税3%の軽減税率が
適用され、源泉徴収で課税関係は完了しますが、改めて
総合課税か分離課税のいずれかを選択して、確定申告を
することも出来ます。
上場株式の配当や投資信託の分配金の課税については、
私が以前に書いた、
今年適用される証券税制(2) を
ご覧ください。
なお、非上場の株式の配当については、総合課税の
配当所得となり、小額配当で源泉徴収されている場合を
除き、確定申告が必要です。
また海外上場株式や海外ETFの分配金については、
海外で税金が源泉徴収された上、さらに国内でも二重に
源泉徴収課税される場合が多く、これについては、
確定申告することによって、外国税額控除(税額控除)
を受けることが出来ます。
3、預貯金、債券、公社債投資信託の利子、利息、分配金
預貯金の利子や利息、債券の利金、公社債投資信託の
分配金は利子所得となり、通常、源泉徴収で課税関係が
完了します。
但し、源泉徴収されていない海外の利息等については、
利子所得の総合課税となり、確定申告が必要です。
4、外貨建て商品の売却益、償還差益
外貨建て利付債券や公社債投資信託(外貨MMF)は、
邦貨決済で途中売却した場合、為替差益等の損益は
非課税です。
但し、途中売却であっても、外貨建てゼロクーポン債の
売却による損益は、総合課税の譲渡所得となります。
一方、外貨建ての利付債券やゼロクーポン債を邦貨決済で、
満期償還された場合、為替差益等の損益は、総合課税の
雑所得となります。
外貨預金の満期時、解約時の為替損益や、FXの損益と
スワップ金利も総合課税の雑所得となります。
外貨建て金融商品の決済を、税制面で優劣を比較すると、
利付外債、外貨MMF>>ゼロクーポン債>FX、外貨預金
というところでしょうか?
但し、使い勝手や為替手数料等で、優劣を比較すると、
FX>>外債、外貨MMF>外貨預金
というところでしょうか?
なお、FXキャンペーンのキャッシュバック収入は、
その性格から一時所得ではないかと思っています。
外為どっとトコムの提供しているメールマガジン にも
はっきりと一時所得と記載されています。
しかしながら、私が今春最寄りの税務署に問合せた時
には、応対した税務署員「どこに何が書いてあるかは
知りませんが、FXに関わるもの全て雑所得です」と
いう見解でした。
どうやら申告する場合は、最寄りの税務署員の個別の
判断に委ねることになりそうです。
外貨建て金融商品ではありませんが、CFDの損益は
総合課税の雑所得となります。
また、先物取引は分離課税の雑所得となり、FXの
「くりっく365」も先物取引の扱いとなり、分離課税
の雑所得です。
FXやCFDのような新しい金融商品には、税制がついて
行っていないような気がします。財務省は、もう少し迅速
な対応が必要ではないでしょうか?
5、一時払い型の養老保険や個人年金保険
一時払い型の養老保険や個人年金保険を一括して換金
した場合、その差益については、保有5年以内のものは
利子所得となり、5年超のものは一時所得となります。
また、個人年金保険を運用期間の完了後に、年金として
受け取った場合、元本との差益が雑所得となります。
昨日「10月末の資産評価」で紹介しましたように、
私は個人変額年金保険を保有しています。いろいろな
特別勘定(投信や現金勘定等)にスイッチングして運用
する商品です。
この商品、私の保有しているものは比較的年間管理料等
が安いのですが、一般的に年間管理料等が高く、金融商品
としては、あまり魅力はありません。
但し、5年超保有して一括換金すれば、一時所得の税制
が適用される利点があります。
一時所得は、税制面で優遇されており、利益相当額から
50万円の特別控除を受けることが出来、さらに所得が
1/2として税計算されます。
例えば、年末調整を終えている給与所得者の場合、給与以外
の所得が20万円以内なら、確定申告不要となっており、
これを適用すると、個人変額年金保険の一括受取り利益が
毎年90万円以内なら、実質非課税となります。
6、その他
金融商品に含まれないかも知れませんが、金地金現物や
ゴルフ会員権の売却損益は総合課税の譲渡所得となります。
総合課税の譲渡所得も税制面で優遇されています。
一時所得と同様、50万円の特別控除を受けるほか、5年
以上保有していたものの譲渡所得(長期譲渡)は、所得が
1/2として税計算されます。
以上で金融商品側から見た、所得区分の記載を終わります。
金融商品と一口でいっても、適用される税制は多岐に
亘っています。いろいろな金融商品の税制面の利点を
うまく活用して、中長期投資をするのも一つの選択かと
思います。
次回(最終回)は、所得の損益通算について補足記載を
させていただきます。
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