昨日に続き、所得税のしくみの第2回目です。
前回の第1回目は、10種類の所得区分と総合課税、分離課税
の区別について記載しましたが、今回は所得税の計算手順に
ついて、書かせていただきます。
今回も、興味のある方のみご覧ください。
税理士の資格も持ち合わせていない、素人がまとめた記事です
ので、勘違いや錯誤もあろうかと思います。誤りがあれば
ご指摘ください。
また個別の案件について、確定申告される場合は、必ず事前に
最寄りの税務署に照会してください。
さて、所得税の計算手順ですが、次の流れで計算します。
1、当年の所得金額の確定
総合課税の所得金額と分離課税の所得金額をそれぞれ個別に
計算して、当年の所得金額を確定します。
通常、所得の計算は、収入―必要経費 となりますが、
必要経費がゼロの場合は、収入=所得 となります。
給与収入や公的年金の必要経費に相当する控除額は、別途、
計算式が定められています。
また、一時所得や総合課税の譲渡所得には、特別控除があり、
さらに短期譲渡以外は、所得金額が1/2となるので注意が
必要です。
なお、所得内、所得間の損益通算については、別途補足
させていただきます。
2、 繰越損失控除
総合課税と分離課税の所得金額がそれぞれ確定すると、まず
前年からの繰越損失があれば、これを差引いて課税対象となる
所得金額を確定します。
例えば、分離課税である株式譲渡所得の損失分や先物取引の
損失分は3年間繰越が出来るので、前年までの繰越損失が
あれば、当年分からこの繰越損失を差引きします。
3、 所得控除
次に総合課税の所得金額から、次の14種類の所得控除の
合計を差引き、その残額が総合課税の課税対象所得金額と
なります。
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等
掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄付金控除、
寡婦・寡夫控除、勤労学生控除、障害者控除、配偶者控除、
配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
所得控除はまず、総合課税の所得金額から差引きますが、
差引いた後も、所得控除に残額があれば、分離課税所得から
その分を差引きすることが出来ます。
例えば専業主婦で、申告する総合課税の所得金額がゼロの
場合、最低でも基礎控除38万円の所得控除があります。
これを分離課税の株式譲渡所得から引き去ることが出来る
ので、源泉徴収された株式売却益の所得税の一部または
全部が還付されます。
4、税額の計算
総合課税の課税対象所得と、分離課税のそれぞれの課税対象
所得が確定すると、税額の計算をします。
総合課税所得の税額は、累進税率で次の6段階になって
います。
5%、10%、20%、23%、33%、40%
次に分離課税所得の税額をそれぞれの規定に従い、計算
します。
このようにして、個別に計算した総合課税と分離課税の税額
の合計が、一次計算の税額となります。
4、税額控除
この一次計算の税額から、配当控除や住宅借入金等特別控除
(住宅ローン減税)等の税額控除を差し引いた金額が最終的な
税額となります。
所得控除が課税所得金額を減額するのに対し、税額控除は
税額を直接に減額するため、同じ金額なら効果が大です。
特に住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)は税額控除
の金額が大きいので、節税効果も大きくなります。
5、納税または還付
この最終税額から源泉徴収分を差し引いた金額が、納付
する税金となります。
源泉徴収された金額の方が、最終税額より大きい場合は、
差額が還付されます。
かなり簡略して記載しましたが、以上が所得税の大雑把な
計算手順です。もう一度手順を整理すると、
当年の総合課税及び分離課税所得の確定 ⇒ 繰越損失の控除
⇒ 所得控除 ⇒ 一次計算の税額 ⇒ 税額控除 ⇒ 最終税額
の順となります。
なお税法上、分離課税所得の内、退職所得と山林所得を
除いた所得及び総合課税所得を合計した金額で、繰越損失
控除前のものを「合計所得金額」と称します。
また、繰越損失控除後の合計で、退職所得と山林所得をも
含めたものを「総所得金額等」と称します。
所得控除の中の配偶者控除や特別配偶者控除を受けられる
かどうかは、配偶者の「合計所得金額」で判定されます。
なお、源泉徴収済みの利子所得、配当所得、株式譲渡所得
は、改めて確定申告書に記載しなければ、「合計所得金額」
や「総所得金額等」には反映されません。
確定申告をすると、その内容の複写が市町村に送付され、
市町村では、それに基づいて住民税を計算します。
住民税の総合課税分は累進課税ではなく、現在は一律
10%となっています。
住民税の計算手順も所得税とほぼ同じですが、所得控除の
基礎控除額が、所得税の場合38万円であるのに対して、
住民税の場合33万円といった違いがあります。
また合計所得金額が一定の基準を超えると、住民税には、
均等割がかかってきます。
年金生活者等に対しては、その住民税のデータに基づき、
国民健康保険料や介護保険料が計算されます。
計算方法は市町村で異なるようですが、これらの計算は
「合計所得金額」でなく「総所得金額等」がベースと
なるようです。
説明が稚拙で解りにくかったかと思いますが、以上で
所得税の計算手順についての記述を終わります。
最近は、国税庁のHPの「確定申告書等作成コーナー」
を利用すれば、税額が自動的に計算されて、申告書の
印刷が出来ます。さらに「e-Tax」を使えば確定申告も
完了しますが、所得税の計算手順や規定は、知識として
持っていて損はないと思います。
次回以降は、金融商品側から見た所得区分や課税、及び
損益通算について、補足の記載をさせていただく予定です。
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