また、円高が進んでいます。それを受けてか? 新型インフルエンザに
よる景気への悪影響が懸念されてか? 今日(28日)は日経平均、
大きく下げました。9000円台の回復は、しばらく遠のいたようです。
昨日、21年度補正予算案が国会に提出されましたが、景気回復への
効果のほどは、どうでしょうか?
今回の補正予算ですが、歳出総額は13兆9256億円で、補正予算の
財源の一部は、財政投融資特別会計から繰り入れられるが、大半は、
7兆3320億円の建設国債と、3兆4870億円の赤字国債の発行で
賄うとのことです。
この結果、09年度の新規国債発行額は、44兆1130億円となり、
国債残高は、約846兆円になるとのことです。
景気対策と言え、国債残高の増加は、日本の将来にとって好ましい
ことではありません。が、それはそれとして、今日は日本の国債の
格付けについて、私見を述べたいと思います。
皆さんご存知の、グローバル・ソブリン・オープン(以下、グロソブ)と
いうマンモスファンドがあります。
ご承知の通り、先進国のソブリン債のみを組み込んだ、外債型の投資信託で、
組入れられている国は、米国、カナダ、豪州、ユーロ圏(ドイツ、フランス、
イタリア、ベルギー、スペイン、オランダ、フィンランド)と非ユーロ圏
(デンマーク、スェーデン、ノルウェー、イギリス)及び日本の15か国
です。
ところで、グロソブの運用会社である国際投信投資顧問が、今年2月に作成
した資料によると、これらの15か国のS&P社の格付けは、日本とイタリアを除く
13か国がAAAと最上級となっています。残り2か国のうち、イタリアはAA+ですが、
日本のその下のAAと最低ランクとなっています。
これでも2004年春、景気回復と株価上昇で上方修正されていて、それ以前の
S&P社の日本国債の格付けは、AA-とボツワナ並みとなっていました。米国の
もう1社、ムーディーズ社に至っては、ボツワナ以下の評価をしていました。
この評価について、私は常々、日本人の一人として、腹立たしく思っています。
皆さんはどう思われていますか?
そもそも、金融の基本中の基本として、「信用リスクの大きい債券ほど金利
は高く設定される」という原則があります。この観点から主要先進国の10年
利付国債の直近の利回りを調べると、米国2.9%、英国3.5%、ドイツ3.2%
となっているのに対して、日本は1.4%と、15か国でも断トツに低い水準と
なっています。
日本の国債の格付けが先進国で最低なのは、国内GDPを大きく上回る
巨額な国債残高に因るものと思いますが、一方で日本には1500兆円
とも言われる個人金融資産が存在し、これで1.4%という低金利であるの
に拘わらず、国内で、ほぼ国債が消化されています。このため、国債格付け
最低の国の金利が一番低い、という珍しい現象が起こっています。
一方、米国の国債発行残高のGDP比は、日本よりは低いですが、自国内で、
消化出来ず、中国、日本、サウジ等が買い手となっています。
国債の信用度は、軍事力を初め、いろいろな要因から決まるのでしょうけど、
普通に考えて、国内で十分に消化出来ている日本の国債が、米国の国債
より劣っているとは思えません。
別の面から見ると、世界同時不況が発生したような場合、国債の信用度の
低い国の通貨は売られるはずです。ところが、国債が先進国で最低格付け
となっている日本の通貨・円は、昨年秋から輝きを増し、急上昇、独歩高と
なっています。これこそ、日本という国の信用度が高いという証ではない
でしょうか?
セミナーとかで聞くところによると、S&P社とムーディーズ社は、サブプライム
ローン絡みの債券を組み込んでいた金融商品に、AAAという最高格付けを
与えていたとか?
国債残高が巨額なことは認めるとしても、新発国債を低金利で、自国内で、ほぼ
消化出来ている日本の国債をAAと見下げ、消費過剰でキリギリスの状態になって
いて、新発国債の消化を外国頼みにしている米国国債にAAAをつけて平然として
いる米国の格付け機関、とても公正な査定をしているとは思われません。
基軸通貨を手にし、軍事的超大国の驕りではないでしょうか?
今年の日本のGDPは、今回の追加経済対策を実施しても、前年比マイナス3.3%
と先進国で最悪の予想となっていますが、世界に目を向けると、日本の通貨・円は
輝いています。
この1年で円高が進みましたから、GDPをその時点の為替レートを使って基軸通貨
である米ドルに換算すれば、今年のGDPは前年比プラスになるのではないでしょうか?
また、円高ということは、1500兆円といわれている個人金融資産も米ドル換算
すれば、価値が増加しているはずです。
テレビのワイドショーとかを見ていると、悲観論ばかりが横行していて、つい萎縮
させられますが、大多数の日本人は円高で、基軸通貨の米ドルで見れば、随分
お金持ちになっているはずです。円ベースで日常生活を送っていると、全く実感は
ありませんが。
円が独歩高になるということは、経済1等国の証だと思います。
我々日本人は、もっと自国に自信を持つべきでないでしょうか?
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