1989年の大納会38,915円をピークに国内株式のバブルは崩壊しました。
バブルというのは、後から判るもので、
1990年の正月の日経新聞でも、
バブル崩壊を予測した企業のトップはおりませんでした。
株のバブルは崩壊しましたが、地価のバブルはそのまま、しばらく続きました。
そのため、政府は、3月に総量規制(土地関連融資の抑制)なるものを発動しました。
公定歩合も1987年2月~1999年5月の2.50%を底に4回、利上げをしていましたが、
8月には5回目の金利引き上げを実施し、6.00%に達しました。
土地を含めた資産バブルの崩壊が本格的にはじまり、高金利時代の到来です。
この時、元本安定型で長期固定金利の商品として次の3つが人気化しました。
◇生保の一時払い養老保険・・・・・10年満期、予定利回り約6.00%
◇長信銀のワイド(利付金融債)・・・・・5年満期、8.00%の半年複利。
◇郵貯の定額貯金・・・・・10年満期、6.33%の半年複利。
一時払い養老保険は、年齢等によって利回りが多少異なりますが、
高利回りで、税制面でも優遇された金融商品でした。
サラリーマンの場合、「給与所得以外の収入が20万円以下なら
確定申告不要」の適用で、満期時、実質90万円の利益までなら非課税
という利点がありました。
税制的には一時所得で、現在でも変額年金保険の場合などに適用されます。
最も人気が集中したのは、長信銀のワイドの8.00%半年複利でした。
私もわずかなお金を持って昼休み、うろうろした経験があります。
近くの日本興業銀行(現 みずほ銀行)に行けば、玄関払い。
続いて、日本長期信用銀行(現 新生銀行)に行けば、一見さんはダメ。
ようやく、日本債権信用銀行(現 あおぞら銀行)で店に入れてもらいました。
中はホテルのロビー風、蓋付きのお茶のサービスには感激しました。
当時、長信銀は一般都銀と違い、大変格式の高いところでした。
その長信銀3行も今、名前が残っているものはありません。
その後の景気急減速で、1991年7月には公定歩合が5.50%に下がり、
それからも下がり続け、1995年7月には0.50%という超低金利時代に突入します。
さらに、銀行の不良債権処理が深刻化した2001年9月には0.10%という、
史上空前の低金利時代を迎えることになります。
バブルの放置とその後のブレーキ掛けすぎによる、失われた10年でした。
ところで、私の塩漬け株ですが、1991年春の湾岸戦争終結で一旦少し戻したものの、
その後も、住専の破綻、不良債権の飛ばし発覚と悪材料続出、500万の含み損を
抱えることになったことは、前回お話しました。
この時、株から撤退すべきか岐路に立っていました。
底なしの下げのように思え、これ以上傷口を大きくしないため、全部精算して
身軽になることも考えました。
「自分のような素人が株に手を出すべきでなかった」とも思いました。
この苦境下、私を救ってくれたのが、大和証券です。
大和証券の店頭ではなく株です。
当時、証券会社株も、ひどく下がっていました。
そして、証券会社株は相場を先取りして、激しく値動きすることに気づきました。
思い切って、1992年3月、大和証券株を780円で1,000株、
さらに、8月までに合計4,000株、買いました。
長期保有も覚悟した、最後の買いでした。
なぜ、大和証券株なのかって?
業界トップの野村證券株は、高すぎて手が出ませんでした。
他の大手2社は、長期保有するにはリスクがあるような気がしました。
消去法で大和証券になったというわけです。
幸い、政府の景気刺激策等が奏効し、相場が急回復してくれました。
1年後には大和証券株は2倍に、NTT株や他の株も切り返しました。
1993年9月までに、全株、無事売却完了。
NTT株はもちろん損切りでしたが、差引き100万円程の売却益が出ました。
ようやく、5年間のNTT株の塩漬け状態から開放され、ホッとした瞬間です。
やっと肩の荷がおりたという思いでした。
長い5年間でしたが、プラスで在庫一掃出来、爽快な気持ちにもなりました。
もう塩漬けはコリゴリ。そして、つくづく思いました。
「割安となる時を気長に待って、中長期投資に徹すること」と。
その後、大和証券(現 大和証券G本社)株は、私の株売買の指標にもなりました。
900円を切ると東証1部バリュー銘柄のウオッチ開始、800円以下で買いスタート。
当然、その中には大和証券(現 大和証券G本社)株自体も含みます。
数回に分けて分散買いして、後は気長に切り返しを待つ。
1400円超えで売却開始、といった具合です。概ねこれで成功しています。
直近の2003年の日経平均7,800円までの下げでは、11,000円を切るまで
買いを辛抱して、以後4回に分けて買い下がりました。
それでも、さすがに、一時かなりの含み損を抱えてしまいました。
でも、10年前と違い必ず戻すであろうと、確信していました。
予想通り、2003年5月、りそな銀行の救済措置を契機に相場は回復。
2005年12月までに、数回に分けて持株すべて売却しました。
一時の含み損の3倍近い利益を得ることができました。
もう1年持てば、さらに儲かったのですが、欲は言いません。
今、株投資用資金は、すべてキャッシュポジションになっています。
その資金はここ2~3年、IPOの買付余力に活用してきました。
そろそろ、バリュー株の買いスタンバイかな?と思っています。
しかしながら、銘柄選定さえ誤らなければ、IPOほどローリスクな
投資はありません。